2つの冤罪国賠 裁判長の姿勢の格差

大崎事件再審請求審の動き

布川事件の冤罪国賠が昨年2021年に東京高裁の勝訴判決で確定しました。松橋事件等、他の冤罪国賠事件もありますが、ここでは2つの冤罪国賠事件の裁判長の積極性の違いについてみたいと思います。

 東住吉冤罪国賠(大阪地裁民事16部・本田能久裁判長)湖東冤罪国賠(大津地裁民事部・堀部亮一裁判長)です。

東住吉国賠訴訟は既に弁論を終結しており、2022年3月15日に判決言い渡しが予定されています。この本田裁判長は、訴訟指揮が公平であり、冤罪被害者の青木さんに対する配慮が非常に素晴らしい方です。青木さんが語り、報道されているところによれば、法檀の上に「ママは殺人犯じゃない」インパクト出版会(本体価格1800円+税)を置き、青木さんの心情を慮って、右陪席の女性裁判官と話したり、青木さんにお声をかけてくださったり、熱意のある信頼できる裁判長です。そのような中、2021年11月には、次のような内容で、原告(青木さん)、被告国らに対して和解を勧告したと報道されました。

 この和解案の内容もよく考えられています。国や大阪府として、到底受け入れられないような法的責任を認めるかたちではなく、結果としての冤罪被害を作り出したことを認めさせ、再発防止も誓わせたうえで、訴訟を終了させることを意味するからです。既に書いたような裁判長の青木さんへの配慮を踏まえると、大阪府、国は相当厳しい判決を覚悟するべきであり、和解を前向きに検討することが国等にとっても一番良いことでしょう。(それでも、まともに検討しようともしないのではないかと予想されます)

 ・青木さんが無罪で冤罪被害者であることを確認する

 ・被告らは、冤罪の再発防止に取り組む

 ・被告らが、青木さんに和解金を支払う

 かたや、大津地裁民事部の堀部亮一裁判長です。湖東国賠訴訟が提訴されたのは2020年12月で、既に1年余りが経っています。それで、訴訟が進行しているのかといえば、この1年、ほとんど進行していません。2020年12月25日に訴えを提起したのに、いまだにほとんど手続が進行していないのは、

刑訴法281条の4に規定された「証拠の目的外使用禁止」である。(そして、裁判長である堀部亮一氏の訴訟指揮にも重大な問題があることは後で述べる)

湖東国賠訴訟の審理に不可欠の刑事事件の記録(確定審の記録、再審請求・再審公判事件の記録)が、いまだに担当する大津地裁民事部に提出されていないのである。前記の281条の4は、検察官が刑事事件で開示し、弁護人が謄写して手元に持っている証拠について、刑事手続以外で使用することを禁止しているのである。弁護団が持っている証拠を民事事件(国賠事件)の証拠として提出することを法律で禁じられていることは正当なのか疑問がわく。

もちろん、国や滋賀県がこれらを提出することには問題がない。ところが、国や県は、なんのかんの理由をつけて提出しないのである。

大コンメンタール刑事訴訟法によれば、前記の281条の4について、冤罪国賠訴訟(民事事件)での証拠提出を目的外使用に含め、禁止していることについて、民事事件の裁判体において、調査・送付嘱託等で適切早期に、行政庁から捜査記録を提出させることができるから不都合がないと説明しています。つまり、ことは、被告国、県だけの問題ではなく、担当の裁判長の判断だということがはっきりしているのであります

堀部裁判長は、異動時期も踏まえ、湖東国賠事件について判決に関与する可能性がないということから、真剣に取り組んでいないと指弾されてもやむを得ないでしょう。

厳しくしつこく、送付嘱託などをちらつかせながら、証拠提出を求めるのが裁判長として当然の義務だと考えられます。

提訴後1年間、なにも進行せず、裁判所が証拠を見ることができない状態で手をこまねいていることに暗澹たる気持ちになります。

ママは殺人犯じゃない  東住吉事件青木さんの本↓


ママは殺人犯じゃない 冤罪・東住吉事件 [ 青木惠子 ]

冤罪をほどく   湖東記念病院事件の本↓


冤罪をほどく “供述弱者”とは誰か [ 中日新聞編集局 ]

大崎事件と私 アヤ子と祐美の30年   大崎事件の本↓    2021年度守屋賞を受賞しました!


大崎事件と私 アヤ子と祐美の40年 [ 鴨志田祐美 ]

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